広告 50項目講座

【50項目講座 第14回】談話理解|ボトムアップとトップダウン・スキーマ・結束性をやさしく解説

「談話理解」って、会話を理解すること?ふだん自然にやっていることに、しくみなんてあるの?
HARU
HARU
まずは結論

私たちは、音や文字から意味を組み立てるボトムアップ処理と、背景知識から予測するトップダウン処理を組み合わせて談話を理解している。試験では、スキーマ、結束性と一貫性、スキミングとスキャニングなどの用語がよく問われる。

50項目講座の第14回からは、3つ目の区分「言語と心理」に入ります。

最初の項目は「談話理解」です。

人が話を聞いたり文章を読んだりするとき、頭の中でどのように意味を理解しているのかを考える分野です。

LULU
LULU
読む・聞くのしくみを知っておくと、読解や聴解の授業をどう組み立てればいいかが見えてきます。授業づくりに直結する項目です。

動画で学ぶ「談話理解」(約3分)

この回の要点を、LULUとHARUの会話で約3分の動画にまとめました。

通勤中や家事の合間に、耳で聞くだけでも復習できます。

最後の確認クイズ2問で、覚えたかどうかを試してみてください。

この項目で求められること

文部科学省のコアカリキュラムでは、この項目の到達目標を「学習活動を効果的に実践するために、談話理解の過程や仕組みについて基礎的な知識を理解している」としています。

理論を覚えるだけでなく、読解や聴解の授業にどう生かすかという視点で理解することが求められています。

そもそも「談話」とは

談話とは、一つの文よりも大きな、ひとまとまりのことばのことです。

会話のような話しことばも、手紙や新聞記事のような書きことばも、談話にあたります。

ポイント① ボトムアップ処理とトップダウン処理

談話を理解するときの頭の働きは、大きく2つの方向に分けて説明されます。

処理 理解の進め方
ボトムアップ処理 音や文字 → 語 → 文 → 全体の意味、と小さな単位から積み上げて理解する
トップダウン処理 背景知識や文脈から内容を予測し、それを確かめながら理解する

実際には、どちらか一方だけで理解しているわけではありません。

2つを同時に組み合わせて理解していると考えるのが相互作用モデルで、現在はこの考え方が一般的です。

天気予報なら「晴れ」「雨」が出てくると予想しながら聞いているよね。あれがトップダウン処理なんだ。
HARU
HARU

ポイント② スキーマとスクリプト

トップダウン処理を支えているのが、頭の中にある背景知識です。

用語 意味
スキーマ 経験によって作られた、ものごとについての知識の枠組み
スクリプト 決まった場面での行動の流れについての知識(シャンクとエーベルソンが提唱)。例:レストランなら「入店 → 注文 → 食事 → 支払い」

スキーマがあると、文章に書かれていないことも補いながら理解できます。

反対に、その話題についてのスキーマがないと、ことばはすべてわかっても、内容がつかめないことがあります。

LULU
LULU
日本の「お花見」や「年末の大掃除」の話は、日本で暮らした経験がない学習者にはスキーマがないこともあります。読む前に、写真などで背景を紹介しておくと理解しやすくなります。

ポイント③ 結束性と一貫性・読み方の種類

結束性と一貫性

文章がまとまりのある談話として理解されるには、2種類の「つながり」が関わっています。

用語 内容
結束性 指示語(それ・この)、接続詞、省略、言い換えなど、ことばの形によって文と文がつながっていること(ハリデーとハサンが提唱)
一貫性 内容や意味の上で、話の筋が通っていること

結束性は「形のつながり」、一貫性は「意味のつながり」と押さえておくと区別しやすくなります。

目的に合わせた読み方

読解の授業では、目的に合わせて読み方を使い分ける練習もします。

読み方 内容 例
スキミング 全体にざっと目を通し、大まかな内容をつかむ 記事が何について書かれているかを知る
スキャニング 必要な情報だけを探して読む 時刻表から自分の乗る電車の時間を探す
LULU
LULU
学習者は、知らない語が一つあると、そこで止まってしまうことがあります。目的によっては全部を理解しなくてもよい、と伝えることも大切ですね。

学習者はここでつまずく

一語一語にこだわって、全体がつかめない
学習者は、知らない語や文法が出てくるたびに辞書を引き、ボトムアップ処理だけで読もうとすることがあります。
その結果、時間がかかり、文章全体の内容や筆者の言いたいことがつかめなくなってしまいます。
反対に、背景知識だけで内容を思い込み、書かれていることを読み違えることもあります。
教えるときのポイント:読む前・聞く前に、話題について話し合ったり写真を見せたりする前作業でスキーマを呼び起こしましょう。「何を知るために読むのか」という目的を示すことも効果的です。

確認クイズ(5問)

答えを考えてから、「答えを見る」を押してください。

Q1. 背景知識や文脈から内容を予測し、それを確かめながら理解する処理を何という?

① ボトムアップ処理 ② トップダウン処理 ③ スキャニング ④ 結束性

答えを見る

正解:② トップダウン処理
音や文字から積み上げて理解するのはボトムアップ処理です。

Q2. 経験によって作られた、ものごとについての知識の枠組みを何という?

① スキーマ ② スキミング ③ 談話 ④ 一貫性

答えを見る

正解:① スキーマ
スキーマがあると、書かれていないことも補いながら理解できます。

Q3. 指示語や接続詞など、ことばの形によって文と文がつながっていることを何という?

① 一貫性 ② 結束性 ③ スクリプト ④ 相互作用モデル

答えを見る

正解:② 結束性
内容や意味の上で筋が通っていることは一貫性といいます。

Q4. 時刻表から自分の乗る電車の時間を探すように、必要な情報だけを探して読む読み方はどれ?

① スキミング ② スキャニング ③ 精読 ④ 多読

答えを見る

正解:② スキャニング
全体にざっと目を通して大まかな内容をつかむのはスキミングです。

Q5. レストランでの「入店 → 注文 → 食事 → 支払い」のような、決まった場面での行動の流れについての知識を何という?

① スクリプト ② スキャニング ③ 談話 ④ 結束性

答えを見る

正解:① スクリプト
シャンクとエーベルソンが提唱した考え方です。

まとめ

50項目講座を案内するLULU
第14回「談話理解」のポイント
  • 談話=一つの文より大きな、ひとまとまりのことば
  • ボトムアップ処理とトップダウン処理を組み合わせて理解する(相互作用モデル)
  • 背景知識の枠組み=スキーマ、場面の行動の流れ=スクリプト
  • 結束性は形のつながり、一貫性は意味のつながり
  • スキミングは大意、スキャニングは必要な情報を探す

第14回では、人が談話を理解するしくみと、それを読解・聴解の授業に生かす考え方を学びました。

次回の第15回「言語学習」です。

講座の全体は、50項目講座の目次から確認できます。

前回までの「言語と社会」の区分は、第13回「多文化・多言語主義」でひと通り終わっています。

LULU
LULU
読む・聞くのしくみがわかると、学習者がどこでつまずいているかにも気づきやすくなります。新しい区分も、一緒に進めていきましょう。

※到達目標は、文部科学省「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の必須の教育内容から引用しています。用語の説明は、第二言語の読解・聴解についての一般的な解説にもとづいてまとめています。

-50項目講座