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【50項目講座 第6回】日本語の試験|JLPT・日本留学試験・BJT・JFT-Basicのちがいをやさしく解説

日本語の試験って、JLPTくらいしか知らないよ。ほかにもいろいろあるの?どう使い分けるの?
HARU
HARU
まずは結論

この項目は、日本語能力試験(JLPT)・日本留学試験(EJU)・BJTビジネス日本語能力テスト・国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の4つを、「だれが受けるのか」「何をはかるのか」「進学・就職・在留資格とどう関わるのか」で整理する回。

50項目講座の第6回は、「社会・文化・地域」の区分から「日本語の試験」です。

日本語の力をはかる試験は、ここで取り上げるもの以外も含めると、約20あるといわれています。

試験の結果は、学習者の進学や就職、在留資格の取得と深く結びついています。

学習者に「どの試験を受ければいいですか」と聞かれたときに答えられるよう、試験ごとの目的とちがいを押さえておきましょう。

LULU
LULU
学習者にとって試験は、ただの点数ではなく、進学や仕事、日本で暮らし続けるための大事な一歩です。目的に合った試験を一緒に考えられる先生は、とても頼りにされます。

動画で学ぶ「日本語の試験」(約5分)

この回の要点を、LULUとHARUの会話で約5分の動画にまとめました。

通勤中や家事の合間に、耳で聞くだけでも復習できます。

最後の確認クイズ2問で、覚えたかどうかを試してみてください。

この項目で求められること

文部科学省のコアカリキュラムでは、この項目の到達目標を「学習者のキャリア等を考える上で必要となる日本語能力の評価・試験について理解している」としています。

試験では、試験の名前と、実施する団体・対象者・形式・結果の示し方の組み合わせがよく問われます。

4つの試験は、次のように目的がちがいます。

試験 主な目的 実施する団体
日本語能力試験(JLPT) 日本語の力を測定・認定する(いちばん広く使われる) 国内:日本国際教育支援協会(JEES)/海外:国際交流基金
日本留学試験(EJU) 日本の大学などに入るための日本語力と基礎学力 日本学生支援機構(JASSO)
BJTビジネス日本語能力テスト ビジネスの現場で必要な日本語コミュニケーション能力 日本漢字能力検定協会
JFT-Basic 働くために来日する人の、生活に必要な日本語 国際交流基金

ポイント① 日本語能力試験(JLPT)

試験のしくみ

日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人の日本語の力を測定し、認定する試験です。

1984年に始まり、年2回(7月と12月、国や地域によっては年1回)行われています。

日本国内では日本国際教育支援協会が、海外では国際交流基金が、各地の機関の協力を得て実施しています。

項目 内容
レベル N1・N2・N3・N4・N5の5段階(2010年より前は1級〜4級の4段階)
試験の要素 「言語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の3つ
解答の方法 すべて選択肢のマークシート。話す・書く力を直接はかる科目はない
成績の示し方 素点ではなく、得点等化された尺度得点で示す

得点等化とは、回ごとの問題の難しさによって得点が左右されないよう、点数の意味をそろえる作業のことです。

CEFRレベル参考表示

2025年第2回(12月)の試験から、合格者の成績書類にCEFRレベル参考表示が書かれるようになりました。

総合得点に応じたCEFRのレベルが示され、ほかの言語の試験とくらべやすくなっています。

レベル CEFRレベル参考表示の例
N1 総合得点100〜141点はB2、142点以上はC1
N3 総合得点95〜103点はA2、104点以上はB1
N4・N5 合格するとN4はA2、N5はA1

同じレベルに合格していても、総合得点によってCEFRのレベルがちがう場合があることに注意しましょう。

合格のメリット

JLPTの合格には、次のようなメリットがあります。

  • 高度人材ポイント制で、N1合格は15ポイント、N2合格は10ポイント
  • N1合格が、日本の医師などの国家試験を受けるための条件の一つ
  • N1かN2の合格で、中学校卒業程度認定試験の国語が免除される
JLPTは話す・書くをはからないんだね。N1を持っていても、話すのが苦手な人がいるのはそのせいか。
HARU
HARU

試験ではこう問われる

  • JLPTの3つの要素(言語知識・読解・聴解)と、話す・書く科目がないこと
  • 国内と海外で実施する団体がちがうこと(日本国際教育支援協会/国際交流基金)
  • 尺度得点・得点等化の意味と、CEFRレベル参考表示(2025年第2回〜)

ポイント② 日本留学試験(EJU)

日本留学試験(EJU)は、外国人留学生が日本の大学(学部)などに入るときに必要な、日本語の力と基礎学力をはかる試験です。

日本学生支援機構(JASSO)が2002年から、年2回、国内と近くの国・地域で行っています。

試験の科目

科目 内容
日本語 大学での勉強や研究に必要な日本語の力(アカデミック・ジャパニーズ)。読解・聴解・聴読解と記述
理科 物理・化学・生物
総合科目 政治・経済・社会を中心に、地理・歴史から総合的に出題
数学 大学の学部によって2種類から選ぶ

受験者は、大学が指定する科目を選んで受けます。

出題の言語は日本語と英語から選べますが、日本語の科目は日本語だけです。

日本語の科目は、理解する力をはかる領域(読解・聴解・聴読解)と、書いて表す力をはかる領域(記述)でできていて、記述以外はマークシートです。

成績は合否ではなく、得点等化された尺度得点で示されます。

成績のよい人は、文部科学省の外国人留学生学習奨励費に申し込むこともできます。

アイテムライター制度

EJUの特徴の一つが、日本語の科目のアイテムライター制度です。

外部の問題作成者(アイテムライター)に、試験問題の原案(アイテム)の作成をたのむ制度で、原案を広く集めることで、よい問題を選び、ためていくことをめざしています。

LULU
LULU
JLPTは「書く」をはかりませんが、EJUには日本語の「記述」があります。この2つのちがいは、セットで覚えておくと便利です。

試験ではこう問われる

  • EJUを実施する団体(日本学生支援機構)と、アカデミック・ジャパニーズをはかる試験であること
  • 日本語の科目に記述があること、成績は合否でなくスコアで示すこと
  • アイテムライター制度の説明

ポイント③ BJTビジネス日本語能力テスト

BJTビジネス日本語能力テストは、ビジネスの現場で必要な日本語のコミュニケーション能力をはかる試験で、日本漢字能力検定協会が行っています。

テストはほぼ毎日行われていて、日時や会場(テストセンター)を選んで、インターネットで申し込めます。

項目 内容
構成 聴解部門・聴読解部門・読解部門の3つ。ビジネスの場面に合わせた問題
方式 コンピュータで答えるCBT(Computer Based Testing)
成績の示し方 合否ではなく、0〜800点のスコアとJ5〜J1+の6段階。J1+(600〜800点)がいちばん上
部門ごとの評価 IRT(項目応答理論)による1〜7のランク

BJTも高度人材ポイント制で加算の対象になっていて、480点以上で15ポイント、400点以上で10ポイントがつきます。

試験ではこう問われる

  • BJTのCBT方式と、成績の示し方(0〜800点・J5〜J1+)
  • JLPTのN1・N2と同じく、高度人材ポイント制の加算対象であること

ポイント④ 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、主に働くために来日する外国人を対象に、ふだんの生活に必要な日本語のコミュニケーション能力をはかる試験です。

国際交流基金が、2019年4月から海外で、2021年3月から日本国内で行っています。

項目 内容
実施 海外と日本で年6回、国ごとに決められた期間に、テストセンターでCBT方式
構成 文字と語彙・会話と表現・聴解・読解の4つのセクション
レベル CEFRとJF日本語教育スタンダードのA1〜A2のCan-doにもとづく問題
特徴 設問は英語のほか、受験する国の言語(現地語)でも表示
判定 総合得点が判定基準点(200点)以上で、A2レベル相当に達していると判定

200点以上だと、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準に達している」と判定されます。

この試験は、在留資格「特定技能1号」を得るために必要な日本語能力を確認する手段としても使われています。

特定技能については、第2回の日本の在留外国人施策でくわしく扱っています。

JFT-Basicは、特定技能で働く人のための試験でもあるんだね。在留資格の話とつながっているのか。
HARU
HARU

試験ではこう問われる

  • JFT-Basicの対象(主に働くために来日する人)と、めざすレベル(A2)
  • 在留資格特定技能1号の日本語能力の確認に使われること
  • 設問が現地語でも表示されることなど、ほかの試験とのちがい

学習者はここでつまずく

試験に合格しても、実際に話せる・書けるとは限らない
JLPTはマークシートの試験で、話す・書く力を直接はかる科目がありません。
そのため、N2やN1に合格していても、会話になると言葉が出てこない、メールや報告書が書けないという学習者は少なくありません。
反対に、話すのは得意なのに、漢字や文法の問題で点がとれずに試験で苦労する人もいます。
教えるときのポイント:学習者の目的(進学・就職・特定技能など)に合った試験を一緒に選び、試験対策だけでなく、試験で測ることのできない話す・書く練習も授業に取り入れましょう。

確認クイズ(5問)

答えを考えてから、「答えを見る」を押してください。

Q1. 日本語能力試験(JLPT)の説明として、正しいものはどれ?

① 話す力をはかる面接がある
② 言語知識・読解・聴解の3つの要素でできている
③ レベルは1級〜4級の4段階である
④ 成績は素点で示される

答えを見る

正解:② 言語知識・読解・聴解の3つの要素でできている
話す・書く科目はなく、レベルはN1〜N5の5段階、成績は尺度得点で示されます。

Q2. 日本留学試験(EJU)を実施している団体はどれ?

① 国際交流基金 ② 日本国際教育支援協会 ③ 日本学生支援機構 ④ 日本漢字能力検定協会

答えを見る

正解:③ 日本学生支援機構(JASSO)
2002年から年2回、国内と近くの国・地域で実施しています。

Q3. BJTビジネス日本語能力テストの成績の示し方として、正しいものはどれ?

① N1〜N5の合否 ② 0〜800点のスコアとJ5〜J1+の6段階 ③ 判定基準点200点で判定 ④ A1〜C2の6段階の合否

答えを見る

正解:② 0〜800点のスコアとJ5〜J1+の6段階
J1+(600〜800点)がいちばん高いレベルです。

Q4. 在留資格「特定技能1号」の日本語能力の確認にも使われている試験はどれ?

① 日本留学試験 ② BJTビジネス日本語能力テスト ③ 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) ④ 日本語教育能力検定試験

答えを見る

正解:③ 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
判定基準点(200点)以上で、A2レベル相当に達していると判定されます。

Q5. 回ごとの問題の難しさによって得点が左右されないよう、点数の意味をそろえる作業を何という?

① 得点等化 ② アイテムライター ③ Can-do ④ CBT

答えを見る

正解:① 得点等化
JLPTやEJU、JFT-Basicの成績は、得点等化された尺度得点で示されます。

まとめ

50項目講座を案内するLULU
第6回「日本語の試験」のポイント
  • JLPT:1984年〜、N1〜N5、言語知識・読解・聴解(話す・書く科目はない)、尺度得点、2025年第2回からCEFRレベル参考表示
  • EJU:日本学生支援機構・2002年〜、アカデミック・ジャパニーズ、日本語に記述あり、アイテムライター制度
  • BJT:ビジネスの日本語、CBT、0〜800点・J5〜J1+
  • JFT-Basic:国際交流基金、働くために来日する人、A2・判定基準点200点、特定技能1号の確認に
  • JLPTのN1・N2とBJTは高度人材ポイント制の加算対象

第6回では、4つの日本語の試験を、目的・対象・形式・結果の示し方で整理しました。

次回の第7回「世界と日本の日本語教育事情」では、世界と日本でどれくらいの人が日本語を学んでいるのかを見ていきます。

講座の全体は、50項目講座の目次から確認できます。

LULU
LULU
4つの試験を「だれが・何のために受けるか」の表にしてみると、ぐっと覚えやすくなります。学習者に聞かれたときにも、すぐ答えられますよ。

※試験の内容は、日本語能力試験公式サイト、日本学生支援機構、日本漢字能力検定協会、国際交流基金の公表資料にもとづき、2026年10月時点でまとめています。到達目標は、文部科学省「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の必須の教育内容から引用しています。項目の論点は、その解説書の章立ても参考に整理しています。

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