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【50項目講座 第18回】異文化受容・適応|カルチャーショック・U字曲線とW字曲線・ベリーの4類型をやさしく解説

50項目講座 第18回 異文化受容・適応
外国で暮らすと、最初は楽しくても、だんだん疲れてくるって聞くよね。日本語教員試験では、そういう気持ちの変化も問われるの?
HARU
HARU
まずは結論

この項目では、カルチャーショックと適応の流れを表すU字曲線・W字曲線、そしてベリーの文化変容の4つのタイプを押さえるのが基本。

50項目講座の第18回は、「言語と心理」の区分から「異文化受容・適応」です。

新しい国で暮らし始めた学習者は、ことばだけでなく、習慣や人との距離の取り方など、たくさんのちがいにぶつかります。

そのときに学習者の心の中で何が起きているのかを知っておくと、授業の外での手助けもしやすくなります。

LULU
LULU
日本に来た学習者が、数か月たって急に元気をなくすことがあります。それがよくある適応の過程だと知っていれば、あわてずに声をかけられます。

動画で学ぶ「異文化受容・適応」(約2分)

この回の要点を、LULUとHARUの会話で約2分の動画にまとめました。

通勤中や家事の合間に、耳で聞くだけでも復習できます。

最後の確認クイズ2問で、覚えたかどうかを試してみてください。

この項目で求められること

文部科学省のコアカリキュラムでは、この項目の到達目標を「異文化接触によって学習者に生じる問題とその適応のプロセスについて理解している」としています。

ポイントは、異文化にふれた学習者にどんな問題が起きるのかと、それを乗り越えてどのように適応していくのかの2つです。

ポイント① カルチャーショックとU字曲線

慣れない文化の中で、ことばや習慣のちがいから強いストレスや不安を感じることを、カルチャーショックといいます。

カルチャーショックは特別な人だけに起きるものではなく、異文化で暮らす多くの人が経験する自然な反応です。

気持ちの変化を時間の流れで表したのが、リスガードのU字曲線です。

時期 気持ちの状態
ハネムーン期 見るものすべてが新鮮で、楽しく、気分が高まっている
ショック期 ちがいが目につき、ストレスや不安、ホームシックが強くなる(気分がいちばん落ちる)
回復期 ことばや習慣に少しずつ慣れ、自分なりの対処法が見つかる
適応期 新しい文化の中で、落ち着いて生活できるようになる

気分が高い所から落ち、また上がっていく形がアルファベットのUに似ているので、U字曲線と呼ばれます。

最初が一番楽しいのに、そのあと落ちるのが「ふつう」なんだね。知らないと、自分だけがうまくいっていないと思っちゃいそう。
HARU
HARU

ポイント② 帰国後のショックとW字曲線

異文化での生活に慣れたあと、母国に帰ると、今度は自分の国の文化に違和感をおぼえることがあります。

これを逆カルチャーショック(リエントリー・ショック)といいます。

U字曲線に、帰国後にもう一度落ちて回復する流れを加えたのが、ガラホーン夫妻のW字曲線です。

  • U字曲線(リスガード):異文化に入ってから適応するまで
  • W字曲線(ガラホーン夫妻):U字に、帰国後の逆カルチャーショックと再適応を加えたもの
LULU
LULU
UとWは「Wのほうが山が一つ多い=帰国後の分」と覚えると迷いません。日本で学んだ学習者が帰国するときにも、知っておきたい考え方です。

ポイント③ ベリーの文化変容の4つのタイプ

異文化に接して、人の考え方や行動が変わっていくことを文化変容(アカルチュレーション)といいます。

ベリーは、2つの問いの組み合わせで、文化変容を4つのタイプに分けました。

一つは「自分の文化を保つか」、もう一つは「新しい文化の人たちと関わるか」です。

新しい文化と関わる 新しい文化と関わらない
自分の文化を保つ 統合:両方の文化を大切にする 分離:自分の文化だけで暮らす
自分の文化を保たない 同化:新しい文化に合わせ、自分の文化を手放す 周辺化:どちらの文化にもよりどころがない

一般に、心の安定にもっともつながりやすいのは統合、もっとも難しい状態になりやすいのは周辺化とされています。

第13回で学んだ同化主義は社会や国の方針の話でしたが、ここでの「同化」は一人ひとりの適応の形を表すことばです。

日本語教育では、学習者に日本の文化への同化を求めるのではなく、母語や自分の文化を大切にしながら日本社会と関われるように支えることが大切です。

LULU
LULU
「日本に来たのだから日本に合わせて」と言われると、学習者は自分の文化を否定されたように感じることがあります。どちらの文化も大切にしてよい、と伝えることが統合への手助けになります。

学習者はここでつまずく

来日して数か月後、急に元気がなくなる
来日したばかりのころは楽しそうだった学習者が、数か月たつと授業を休みがちになったり、口数が減ったりすることがあります。
ことばがうまく通じない、習慣のちがいに疲れる、家族や友だちに会えない、といったことが重なるためです。
U字曲線のショック期にあたる時期で、学習者自身は「自分だけがうまくいっていない」と感じていることもあります。
教えるときのポイント:だれにでも起きる自然な過程だと伝え、話を聞く時間を作りましょう。学校の相談窓口や、同じ国の先輩とつなぐことも助けになります。

確認クイズ(5問)

答えを考えてから、「答えを見る」を押してください。

Q1. U字曲線で表される適応の流れとして、正しい順番はどれ?

① ショック期 → ハネムーン期 → 適応期 → 回復期
② ハネムーン期 → ショック期 → 回復期 → 適応期
③ ハネムーン期 → 回復期 → ショック期 → 適応期
④ 回復期 → ショック期 → ハネムーン期 → 適応期

答えを見る

正解:② ハネムーン期 → ショック期 → 回復期 → 適応期
気分が高い所から落ち、また上がる形がUの字に似ています。

Q2. 異文化での生活に慣れたあと、母国に帰って自分の国の文化に違和感をおぼえることを何という?

① 化石化 ② 逆カルチャーショック ③ 自文化中心主義 ④ 臨界期

答えを見る

正解:② 逆カルチャーショック
リエントリー・ショックともいいます。

Q3. U字曲線に、帰国後の逆カルチャーショックと再適応を加えたものはどれ?

① V字曲線 ② S字曲線 ③ W字曲線 ④ L字曲線

答えを見る

正解:③ W字曲線
ガラホーン夫妻が示しました。U字曲線はリスガードです。

Q4. ベリーの文化変容のタイプで、自分の文化を保ちながら、新しい文化の人たちとも関わるものはどれ?

① 統合 ② 同化 ③ 分離 ④ 周辺化

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正解:① 統合
心の安定にもっともつながりやすいタイプとされています。

Q5. ベリーの文化変容のタイプで、自分の文化を手放し、新しい文化に合わせていくものはどれ?

① 統合 ② 同化 ③ 分離 ④ 周辺化

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正解:② 同化
自分の文化だけで暮らすのは分離、どちらにもよりどころがないのは周辺化です。

まとめ

50項目講座を案内するLULU
第18回「異文化受容・適応」のポイント
  • 異文化でのストレスや不安=カルチャーショック(だれにでも起きる自然な反応)
  • U字曲線(リスガード):ハネムーン期 → ショック期 → 回復期 → 適応期
  • 帰国後の違和感=逆カルチャーショック。それを加えたのがW字曲線(ガラホーン夫妻)
  • ベリーの文化変容:統合・同化・分離・周辺化
  • 同化を求めず、自分の文化も大切にしながら日本社会と関われるように支える

第18回では、異文化にふれた学習者の気持ちの変化と、適応の形を学びました。

次回の第19回「日本語の学習・教育の情意的側面」です。

講座の全体は、50項目講座の目次から確認できます。

文化のとらえ方については、第1回「世界と日本の社会と文化」の自文化中心主義と文化相対主義もあわせて確認しておきましょう。

LULU
LULU
U字とW字、それに4つのタイプを表で覚えれば、この項目は大丈夫です。一つずつ積み上げていきましょう。

※到達目標は、文部科学省「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の必須の教育内容から引用しています。U字曲線(Lysgaard, 1955)、W字曲線(Gullahorn & Gullahorn, 1963)、文化変容の4類型(Berry)は、異文化間心理学の一般的な解説にもとづいてまとめています。

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