この項目は、在留外国人がどう増えてきたか(オールドカマー → ニューカマー → 400万人時代)と、国がどんな制度で外国人を受け入れてきたか(留学生・技能実習・特定技能・EPA)、そして「受け入れ」から「共生」への転換を、一本の流れで理解する回。
50項目講座の第2回は、「社会・文化・地域」の区分から「日本の在留外国人施策」です。
日本で暮らす外国人は、2025年末に初めて400万人を超えました。
日本語の教室で出会う学習者は、ほぼ全員が何らかの「在留資格」を持って日本にいます。
この回では、在留外国人が増えてきた歴史と、受け入れの制度、ともに暮らすための施策を、4つのテーマで整理します。
動画で学ぶ「日本の在留外国人施策」(約8分半)
この回の要点を、LULUとHARUの会話で約8分半の動画にまとめました。
通勤中や家事の合間に、耳で聞くだけでも復習できます。
最後の確認クイズ2問で、覚えたかどうかを試してみてください。
この項目で求められること
文部科学省のコアカリキュラムでは、この項目の到達目標を「在留外国人の現状やその動向、並びに日本の在留外国人施策について理解している」としています。
つまり、「今、どんな外国人が、どれくらい日本にいるのか」と、「国がどんな制度で受け入れてきたのか」の2つを押さえる項目です。
試験では制度の名前と年号がよく問われますが、ばらばらに覚えるとすぐに混ざってしまいます。
この回の4つのテーマは、次のような流れでつながっています。
- 戦前から住むオールドカマーが中心だった時代から、1980年代以降にニューカマーが増えた
- その背景には、バブル期の人手不足と、日系人・難民・中国帰国者の受け入れがあった
- 国は、留学生・技能実習・特定技能・EPAなど、目的の違う制度で外国人を受け入れてきた
- 今は「働き手を補う」だけでなく、ともに暮らす社会(共生)をめざす方向に変わってきている
ポイント① 在留外国人の増加と在留資格
オールドカマーとニューカマー
1970年代までの在留外国人は、80万人前後でした。
その多くは、第二次世界大戦の前から日本に住んでいた朝鮮半島や台湾の出身者と、その子孫です。
この人たちをオールドカマーといいます。
一方、1980年代以降に、仕事や留学、国際結婚などで新しく日本に来た人たちをニューカマーといいます。
ニューカマーが増えたことで、日本語を一から学ぶ大人や子どもが増え、国内の日本語教育が大きく広がりました。
在留外国人の数の移り変わり
| 時期 | 在留外国人の動き |
|---|---|
| 1970年代 | 80万人前後。オールドカマーが中心 |
| 1990年 | 100万人を超える |
| 2005年 | 200万人を超える |
| 2008年・2011年 | リーマンショック、東日本大震災で一時的に減る |
| 2013年〜 | 再び増え始める |
| 2020年 | 新型コロナウイルス感染症の影響で減る |
| 2022年末 | 初めて300万人を超える |
| 2025年末 | 約412万人で初めて400万人を超え、過去最多 |
2025年末の在留外国人は412万5,395人で、4年続けて過去最多を更新しました。
国籍・地域別では、中国、ベトナム、韓国の順に多くなっています。
在留資格別では、永住者がもっとも多く、技術・人文知識・国際業務、留学が続きます。
働く外国人も、2025年10月末の時点で約257万人と、過去最多になっています。
在留資格の2つのタイプ
外国人が日本に住むには、出入国管理及び難民認定法(入管法)にもとづく在留資格が必要です。
在留資格は、大きく2つのタイプに分けられます。
| タイプ | 主な在留資格の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 活動資格 | 留学、技術・人文知識・国際業務、技能実習、特定技能など | 決められた活動の範囲でだけ在留できる |
| 居住資格 (身分・地位にもとづく) |
永住者、日本人の配偶者等、定住者など | 活動に制限がなく、仕事も自由に選べる |
外国人の情報の管理のしかたも変わりました。
2009年の入管法の改正により、2012年7月に外国人登録制度がなくなり、3か月をこえて日本にいる人には在留カードが交付されるようになりました。
また2019年4月には、出入国や在留を管理する出入国在留管理庁が設置されています。
試験ではこう問われる
- オールドカマーとニューカマーの説明として正しいものを選ぶ問題(いつ・どんな理由で来た人か)
- 在留資格のうち、活動に制限がないもの(永住者・日本人の配偶者等・定住者)を選ぶ問題
- 外国人登録制度が廃止され、在留カードに変わった時期(2012年7月)
ポイント② 外国人が増えた背景
ニューカマーが増えた背景には、大きく3つの流れがあります。
日系人の「定住者」
1980年代後半のバブル景気のころ、工場や建設現場では深刻な人手不足が起きていました。
そこで、1989年に入管法が改正され(1990年施行)、日系人とその家族が「定住者」という在留資格で、仕事の制限なく暮らせるようになりました。
その結果、ブラジルやペルーなどから多くの日系人が来日し、自動車工場などがある地域に集まって住むようになりました。
親の仕事にあわせて来日した子どもたちの日本語教育や、学校での受け入れも、この時期から大きな課題になります。
インドシナ難民
1975年にベトナム戦争が終わると、ベトナム・ラオス・カンボジアのインドシナ3国から、多くの人が国外へ逃れました。
小さな船で海へ出た人はボートピープル、陸路で逃れた人はランドピープルと呼ばれ、その数は200万人をこえたといわれます。
日本は1978年から、インドシナ難民の定住を受け入れ始めました。
兵庫県姫路市と神奈川県大和市に定住促進センターがつくられ、日本語教育や生活の指導、仕事の紹介が行われました。
受け入れた人は、約1万人にのぼります。
中国帰国者
第二次世界大戦の終わりの混乱で中国に残された日本人(中国残留邦人)や、親と離ればなれになった中国残留孤児がいます。
1972年の日中国交正常化をきっかけに、1980年代から1990年代にかけて、その人たちと家族の帰国が進みました。
帰国した人の多くは、日本語がほとんど話せない状態でした。
そのため、中国帰国者定着促進センター(1984年〜2016年)などで、日本語や生活の支援が行われてきました。
今は、中国帰国者支援・交流センターが支援を続けています。
試験ではこう問われる
- 1990年施行の改正入管法で生まれた在留資格(定住者)と、増えた国(ブラジル・ペルー)
- インドシナ難民の定住促進センターがつくられた場所(姫路・大和)
- 中国帰国者の帰国が進んだきっかけ(1972年の日中国交正常化)
ポイント③ 外国人材の受け入れ制度
国は、目的の違ういくつかの制度で外国人を受け入れてきました。
試験では、「その制度は何のためにつくられたのか」という目的の違いがよく問われます。
留学生と高度人材
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1983年 | 留学生受け入れ10万人計画(中曽根内閣)。2003年に達成 |
| 2008年 | 留学生30万人計画。2019年に達成 |
| 2010年 | 在留資格の「留学」と「就学」が「留学」に一本化される |
| 2012年 | 高度人材ポイント制が始まる(70点以上で優遇) |
| 2015年 | 在留資格「高度専門職」ができる |
| 2023年 | 新しい目標「J-MIRAI」:2033年までに留学生40万人、卒業後の国内就職率6割 |
2010年の一本化以前は、日本語学校で学ぶ人は「就学」、大学などで学ぶ人は「留学」と、在留資格が分かれていました。
2025年5月の時点で、留学生は約40万8,000人にのぼり、そのうち約14万人が日本語教育機関で学んでいます。
専門性の高い人材を呼び込むための高度人材ポイント制は、学歴・職歴・年収などを点数にして、70点以上の人に在留期間などの優遇をする制度です。
技能実習から育成就労へ
技能実習制度は、開発途上国の人が日本で技術を学び、帰国後に自分の国の発展に役立てることを目的とした制度です。
ところが実際には、人手不足を補う働き手として使われているという批判が続いてきました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1950年代〜 | アジアの国々からの技術研修生の受け入れが始まる |
| 1990年 | 外国人研修制度が広げられる |
| 1993年 | 技能実習制度ができる(研修のあと、実習として働ける) |
| 2010年 | 在留資格「技能実習」ができ、労働基準法や最低賃金法が適用される |
| 2017年 | 技能実習法の施行。外国人技能実習機構(OTIT)が監督する |
| 2024年 | 法改正で、技能実習制度の廃止と育成就労制度の創設が決まる |
| 2027年4月 | 育成就労制度が始まる |
新しい育成就労制度の目的は、「人材の育成」と「人材の確保」です。
技能実習では原則としてできなかった、本人の希望による職場の変更(転籍)も、一定の条件で認められます。
3年間で、次に説明する特定技能1号の水準の人材に育てることがめざされています。
特定技能
特定技能は、人手不足の分野で、即戦力として外国人を受け入れるための在留資格です。
2018年12月の入管法改正を受けて、2019年4月に始まりました。
技能実習が「国際貢献」を建前にしていたのに対し、特定技能ははっきりと「働き手の確保」を目的にした初めての制度です。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
|---|---|---|
| 求められる技能 | 相当程度の知識または経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算で5年まで | 更新すれば上限なし |
| 家族の帯同 | 原則できない | 条件を満たせばできる(配偶者・子) |
| 受け入れ側の支援 | 支援の対象 | 支援の対象外 |
対象の分野は、介護、建設、農業、外食業など16分野です(2号は介護を除く11分野)。
2026年1月には、物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野を加えて19分野にすることが決まり、2027年4月から受け入れが始まる予定です。
2025年末の特定技能の在留者は約39万人で、1年で4割近く増えました。
EPAにもとづく看護師・介護福祉士候補者
経済連携協定(EPA)にもとづいて、看護師と介護福祉士の候補者を受け入れる制度もあります。
インドネシアからは2008年度、フィリピンからは2009年度、ベトナムからは2014年度に受け入れが始まりました。
候補者は来日後、約半年の日本語研修を受けてから病院や介護施設で働き、看護師は3年、介護福祉士は4年のうちに、日本の国家試験に合格することをめざします。
働いている間は雇用契約にもとづくため、労働基準法などの日本の法律が適用されます。
国家試験に合格できなかった場合は、原則として帰国することになっています。
試験ではこう問われる
- 留学生の計画の年と目標の数(10万人計画=1983年、30万人計画=2008年、J-MIRAI=2033年までに40万人)
- 技能実習と育成就労の目的の違い、育成就労の施行時期(2027年4月)
- 特定技能1号と2号の違い(在留期間・家族の帯同・支援)
- EPA候補者を受け入れている3か国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)
ポイント④ 共生のための施策
外国人を受け入れるだけでなく、ともに暮らす社会をつくるための施策も進められています。
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策
特定技能ができるのに合わせて、国は2018年12月に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」をまとめました。
働く場所だけでなく、教育、医療、住まいなど、暮らしのさまざまな場面の施策がまとめられています。
外国人を一時的な働き手ではなく、地域社会の一員として考え、毎年見直されています。
施策の数は、最初の126から、2024年度の改訂では200をこえるまでに増えました。
外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ
2022年には、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」が決定されました。
2022年度から2026年度までの5年間に、国が中長期的に取り組むことを示したものです。
ロードマップでは、めざす社会の姿として、次の3つを掲げています。
- 安全・安心な社会
- 多様性に富んだ活力ある社会
- 個人の尊厳と人権を尊重した社会
そのために重点的に取り組むこととして、次の4つが決められています。
| 重点事項 | |
|---|---|
| 1 | 円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育などの取組 |
| 2 | 外国人への情報発信と、外国人向けの相談体制の強化 |
| 3 | ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援 |
| 4 | 共生社会の基盤整備に向けた取組 |
重点事項の1番目に日本語教育があることからも、日本語教師に期待される役割の大きさがわかります。
日本語教育そのものを国や自治体の責任と定めた日本語教育推進法(2019年)と、登録日本語教員の制度をつくった日本語教育機関認定法(2024年施行)については、登録日本語教員になるには?でくわしく解説しています。
このように日本の外国人政策は、働き手を補うための「受け入れ」から、ともに暮らすことを前提にした「共生・定住」へと、大きく向きを変えつつあります。
試験ではこう問われる
- 総合的対応策がどんなきっかけでまとめられたか(特定技能の創設)
- ロードマップの対象期間(2022〜2026年度)と、3つのビジョン・4つの重点事項の中身
学習者はここでつまずく
働きながら学ぶ人は、授業に使える時間も限られています。
同じ教材・同じ進め方では、学習者が「自分には役に立たない」と感じてしまうことがあります。
確認クイズ(5問)
答えを考えてから、「答えを見る」を押してください。
Q1. 1980年代以降に、仕事や留学、国際結婚などで新しく日本に来た外国人を何という?
① オールドカマー ② ニューカマー ③ 中国帰国者 ④ 高度人材
答えを見る
正解:② ニューカマー
第二次世界大戦の前から日本に住んでいた朝鮮半島・台湾出身者とその子孫は、オールドカマーといいます。
Q2. 1990年に施行された改正入管法で、日系人とその家族が仕事の制限なく暮らせるようになった在留資格はどれ?
① 永住者 ② 定住者 ③ 特定技能 ④ 技能実習
答えを見る
正解:② 定住者
バブル期の人手不足を背景に、ブラジルやペルーなどから多くの日系人が来日しました。
Q3. 1983年に始まり、2003年に達成された留学生の受け入れ計画はどれ?
① 留学生受け入れ10万人計画 ② 留学生30万人計画 ③ J-MIRAI ④ 高度人材ポイント制
答えを見る
正解:① 留学生受け入れ10万人計画
30万人計画は2008年に始まり、2019年に達成されました。
Q4. 特定技能の説明として、正しいものはどれ?
① 1号は、家族を呼び寄せることができる
② 2号は、在留期間の更新に上限がない
③ 2号は、受け入れ側による支援の対象になる
④ 1号は、通算10年まで在留できる
答えを見る
正解:② 2号は、在留期間の更新に上限がない
1号は通算5年まで・家族の帯同は原則不可・支援の対象です。2号は条件を満たせば家族を帯同でき、支援の対象外です。
Q5. 経済連携協定(EPA)にもとづいて、看護師・介護福祉士の候補者を受け入れていない国はどれ?
① インドネシア ② フィリピン ③ ベトナム ④ ブラジル
答えを見る
正解:④ ブラジル
EPAの受け入れは、インドネシア(2008年度〜)、フィリピン(2009年度〜)、ベトナム(2014年度〜)の3か国です。
まとめ

- 在留外国人はオールドカマー中心から、1980年代以降のニューカマーへ。2025年末に約412万人で初の400万人超え
- 在留資格は活動資格と居住資格の2タイプ。2012年7月から在留カード
- 増えた背景:1990年の「定住者」(日系人)、インドシナ難民(1978年〜)、中国帰国者(1972年の国交正常化後)
- 受け入れ制度:留学生10万人・30万人計画とJ-MIRAI、技能実習 → 育成就労(2027年4月)、特定技能1号・2号、EPA(3か国)
- 共生の施策:総合的対応策(2018年)と共生社会のロードマップ(2022〜2026年度)。「受け入れ」から「共生・定住」へ
第2回では、在留外国人が増えてきた歴史と、受け入れの制度、ともに暮らすための施策を学びました。
次回の第3回「多文化共生(地域社会における共生)」では、地域で外国人とともに暮らすための取り組みを見ていきます。
講座の全体は、50項目講座の目次から確認できます。
前回の第1回「世界と日本の社会と文化」で見た「人手不足と人の移動」とあわせて復習すると、つながりがよくわかります。
※数字は、出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」、厚生労働省「外国人雇用状況」(2025年10月末)、日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査」(2025年5月)、内閣官房・出入国在留管理庁などの公表資料にもとづき、2026年10月時点でまとめています。到達目標は、文部科学省「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の必須の教育内容から引用しています。項目の論点は、その解説書の章立ても参考に整理しています。