広告 50項目講座

【50項目講座 第21回】日本語教育プログラムの理解と実践|構成要素・プログラム→コース→授業・PDCAをやさしく解説

50項目講座 第21回 日本語教育プログラムの理解と実践
「日本語教育プログラム」って、授業とは何がちがうの?自分の授業だけしっかりやれば、それでいいんじゃない?
HARU
HARU
まずは結論

この項目では、日本語教育プログラムの構成要素と、プログラム → コース → 授業という全体の中で自分の授業を位置付ける考え方、そしてPDCAサイクルで改善していく流れを押さえるのが基本。

50項目講座の第21回は、「言語と教育」の区分から「日本語教育プログラムの理解と実践」です。

日本語の授業は、1回ずつがばらばらに行われているわけではありません。

学校や地域の教室では、目的に合わせて組み立てられた「プログラム」の一部として、一つひとつの授業が行われています。

LULU
LULU
自分の授業がプログラムのどこにあたるのかがわかると、「今日は何をどこまで教えるか」がはっきりします。前の授業と次の授業をつなぐ意識も生まれます。

動画で学ぶ「日本語教育プログラムの理解と実践」(約3分)

この回の要点を、LULUとHARUの会話で約3分の動画にまとめました。

通勤中や家事の合間に、耳で聞くだけでも復習できます。

最後の確認クイズ2問で、覚えたかどうかを試してみてください。

この項目で求められること

文部科学省のコアカリキュラムでは、この項目の到達目標を「プログラムの構成要素について理解し、日本語教育プログラム全体の中に自身の授業を位置付けることができる」としています。

ポイントは、プログラムが何から組み立てられているかを知ることと、その中で自分の授業が果たす役割を考えられることの2つです。

ポイント① 日本語教育プログラムの構成要素

日本語教育プログラムとは、ある目的のために、日本語教育の内容や方法、運営のしかたをまとめて組み立てた全体の計画のことです。

日本語学校の進学コース、企業の研修、地域の日本語教室など、さまざまな形があります。

プログラムは、おもに次のような要素から成り立っています。

構成要素 内容の例
目的・目標 何のために学ぶのか、修了時に何ができるようになるのか
対象 どんな学習者か(留学生、就労者、生活者、子どもなど)、人数やレベル
内容 何を学ぶか(文型・語彙・場面・技能など)、その順番
方法・教材 どう教えるか、どんな教材や活動を使うか
評価 目標が達成できたかを、何でどう確かめるか
体制・条件 期間・時間数、教師の配置、教室や設備、費用など
授業の中身だけじゃなく、期間や教師の配置まで含めて「プログラム」なんだね。
HARU
HARU

ポイント② 授業をプログラム全体の中に位置付ける

プログラム → コース → 授業

プログラムは、いくつかのコース(たとえば初級・中級、学期ごとのクラス)に分かれ、コースはさらに一つひとつの授業に分かれます。

  • プログラム:例)2年間で大学進学に必要な日本語力をつける
  • コース:例)初級後半クラス(3か月)で、日常生活の基本的なやりとりができるようにする
  • 授業:例)今日の90分で、依頼の表現を使ってお願いができるようにする

自分の授業を位置付けるとは

自分の授業を位置付けるとは、次のようなことを意識して授業を考えることです。

  • この授業は、コースやプログラムのどの目標につながっているか
  • 前の授業で何を学び、次の授業で何を学ぶのか
  • ほかの先生が担当する授業と、内容や進み方がずれていないか

複数の教師で一つのクラスを担当することも多いので、授業ごとの記録や引き継ぎも大切になります。

ニーズ分析やシラバスの作り方など、コースを組み立てる具体的な方法は、第23回「コースデザイン」でくわしく扱います。

LULU
LULU
「この授業が終わったら、学習者は何ができるようになっているか」を、コースの目標と同じことばで書けると、授業がプログラムにしっかりつながります。

ポイント③ プログラムを改善していく流れ

プログラムは、一度作ったら終わりではありません。

PDCAサイクルと呼ばれる流れで、よりよいものに改善していきます。

段階 内容の例
計画(Plan) 目標・内容・方法・評価を決める
実施(Do) 計画にそって授業を行う
評価(Check) テストの結果や、学習者・教師へのアンケートなどで、うまくいったかを確かめる
改善(Action) わかった課題をもとに、次の計画を見直す

プログラム全体を見渡して、教師どうしや学校・地域の関係者をつなぐのが、第20回で学んだ日本語教育コーディネーターの役割です。

一人ひとりの教師も、自分の授業をふり返ってコーディネーターや同僚に伝えることで、プログラムの改善に加わります。

LULU
LULU
学習者のアンケートで「話す練習がもっとしたい」という声が多ければ、次の学期の時間配分を変える、といった見直しにつながります。授業の小さな気づきが、プログラム全体を動かすこともあります。

学習者はここでつまずく

先生が変わると、授業のつながりがわからなくなる
曜日ごとに担当の先生が変わるクラスで、前の授業で習ったことが次の授業で使われず、学習者が戸惑うことがあります。
同じ文型を別の先生がまた最初から説明したり、逆に、まだ習っていない表現が急に出てきたりするためです。
それぞれの授業が、プログラム全体の中でつながっていないことが原因です。
教えるときのポイント:授業の最初に、前回学んだことを短くふり返り、今日の目標とのつながりを示しましょう。担当の先生どうしで、授業の記録や引き継ぎを共有することも大切です。

確認クイズ(5問)

答えを考えてから、「答えを見る」を押してください。

Q1. プログラムを改善していくPDCAサイクルの順番として、正しいものはどれ?

① 実施 → 計画 → 改善 → 評価
② 計画 → 評価 → 実施 → 改善
③ 計画 → 実施 → 評価 → 改善
④ 評価 → 計画 → 改善 → 実施

答えを見る

正解:③ 計画 → 実施 → 評価 → 改善
Plan(計画)→ Do(実施)→ Check(評価)→ Action(改善)の頭文字です。

Q2. 日本語教育プログラムの構成要素として、ふつう含まれないものはどれ?

① 目的・目標 ② 対象となる学習者 ③ 評価の方法 ④ 担当教師の出身地

答えを見る

正解:④ 担当教師の出身地
プログラムは、目的・目標、対象、内容、方法・教材、評価、体制・条件などから組み立てられます。

Q3. 自分の授業をプログラム全体の中に位置付けるために、最も大切な考え方はどれ?

① 教科書を1ページ目から順に進めることだけを考える
② その授業がコースやプログラムのどの目標につながるかを考える
③ ほかの先生の授業とは関係なく、自分の得意な内容を教える
④ 毎回、新しい文型をできるだけ多く教える

答えを見る

正解:② その授業がコースやプログラムのどの目標につながるかを考える
前後の授業や、ほかの先生の授業とのつながりも意識します。

Q4. テストの結果や学習者へのアンケートで、プログラムがうまくいったかを確かめる段階は、PDCAのどれにあたる?

① 計画(Plan) ② 実施(Do) ③ 評価(Check) ④ 改善(Action)

答えを見る

正解:③ 評価(Check)
わかった課題をもとに、次の計画を見直すのが改善(Action)です。

Q5. プログラム全体を見渡し、教師どうしや関係者をつなぐ役割を担うのはどれ?

① 日本語学習支援者 ② 日本語教育コーディネーター ③ 学習者 ④ 試験の監督者

答えを見る

正解:② 日本語教育コーディネーター
日本語教育機関の主任教員や、地域日本語教育コーディネーターなどがこの役割を担います。

まとめ

50項目講座を案内するLULU
第21回「日本語教育プログラムの理解と実践」のポイント
  • プログラムの構成要素:目的・目標、対象、内容、方法・教材、評価、体制・条件
  • 全体の中の位置:プログラム → コース → 授業
  • 自分の授業が、どの目標につながり、前後の授業とどうつながるかを考える
  • 改善の流れ:計画 → 実施 → 評価 → 改善(PDCA)
  • 全体をつなぐのは日本語教育コーディネーター

第21回では、日本語教育プログラムの組み立てと、その中で自分の授業を位置付ける考え方を学びました。

次回の第22回「教室・言語環境の設定」です。

講座の全体は、50項目講座の目次から確認できます。

前回の第20回「日本語教師の資質・能力」とあわせて、日本語教育に関わる人と仕組みを整理しておきましょう。

LULU
LULU
プログラムの全体像がわかると、この先のコースデザインや授業計画の回もぐっと理解しやすくなります。一つずつ積み上げていきましょう。

※到達目標は、文部科学省「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の必須の教育内容から引用しています。プログラムの構成要素とPDCAサイクルは、日本語教育のコース・プログラム運営についての一般的な解説にもとづいてまとめています。

-50項目講座